(出典:新光電子作成資料より)

はかりと検定と計量法の関係について

 はかりは商店などでモノを計って売るという場面で使用する場合には検定付き(または基準適合証印付き)でなけらばなりません。これは計量法が定めていることで、商取引の安全を確保するための制度です。一般の方はあまりご存じないようですが、お問い合わせいただいた場合にお答えしていることです。私たちの通販サイトは計量器の購入と使用に当たって、法に適合するよう関連の知識の提供にも努める所存でおります。
 以下にはかりと計量法の検定制度のことを簡単にご説明申し上げます。

はかりと検定制度(はかり使用のための一般的知識)

 日本の計量制度は、計量法を骨格として構成されています。計量法は法定計量単位を定めているほか、取引・証明に係る計量の安全を確保するために刑事罰を内容に含めた規範を国民に求めております。通常、善意に計量を実施する分には刑事罰を科せられるようなことにはなりませんが、取引と証明に係る適正な計量の実施を確保するために守るべき事項が定められております。
 ですから、取引と証明に用いられるはかりに関して計量法は、比較的厳重な法令の体系を構築しておりますので、この分野ではかりを使用する場合には以下に述べる事項をふまえておいて下さい。
 基本的事項に係わるキー・ワードは「取引または証明にはかりを使用する場合」です。一般ユーザーが心得ておくべきことそれは「取引」または「証明」にはかリを使用する場合には検定証印もしくは基準適合証印付き製品であることと、購入後には定められた一定期間ごとの定期検査に合格していることです。それと正しくはかりを使用し、正確に計量することです。守るべき基本的事項はこれだけのことですから、十分に注意して優良なはかり使用者になって下さい。
 「取引および証明」に係る分野で計量がいい加減に実施されますと、信用を前提とする日本の社会が混乱し、経済や文化活動の基礎がくずれてしまいますから、社会的にみて最低限度守らなくてはならない「決まり」を国は計量法で定めているのです。一般ユーザーが守るべき「決まり」は次の3つです。@検定証印もしくは基準適合証印が付されたはかりを使用すること、A使用中のものは期間が定められている定期検査に合格し、定期検査済証印の有効期間内にあること、B正しく使用すること、傾いたりしないなど設置場所等が適正であること、使用に当たっては0点をしっかり調整し、風袋引き等の操作を適正に実施すること。
 これら3つの難しいことは何もない「決まり」に従って計量することです。難しいことではないのですが、はかりが傾いていたり、指針が0にならないまま計量していることがありますし、定期検査を受検していない事例が散見されます。またもっとも初歩的な事項ですが、取引および証明の用途にはかりを使用するにも関わらず、それに適合したはかりとしての第一条件である、「検定証印もしくは基準適合証印が付されたはかりを使用すること」という条件を満たしていない事例も少なからずあります。ですから、「ものをはかて売る場合には検定付きもしくは基準適合証印付き」ということだけは心得ておいて下さい。
 検定証印付きおよび基準適合証印付きのはかりは、取引および証明に使用するのに必要な条件を満たしたはかりであるということです。このため計量法は型式承認制度を設けて、はかりの器差が適正であるかどうかという以前の段階での耐久性等を含めた構造面の検査を実施しております。
 取引および証明の分野で使用されるはかりは、社会的に妥当な丈夫さと精密さを備えているように計量法は諸規定を設けております。検定証印付きあるいは基準適合証印付きのはかりであってもどれもが同じということではありません。精密さも様々ですし、用途も水に強い、衝撃に強い等々様々ですから、使用目的に適合したひょう量と目量等を総合的に判断して検定付きのはかりを購入することになります。
 計量法は、消費者・生活者の立場からは購入する消費・生活関連の物資がどんな場合にも適正に計量されている、ということを実現する経済・社会的システムでありますから、はかり使用者は通常の気遣いがあれば遵守できる計量法の諸規定に従って適正な計量を実施して下さい。
 はかりは質量をはかる計量器であり、はかりは計量法とともにあると思い込んでいる方は多いと思います。産業と経済が発達しますと、取引および証明分野の用途の絶対量は減りませんがはかりの生産数量に対する割合は小さなものになります。現在、日本で生産されたり販売されているはかりの中の一割程度が取引および証明の用途に回されると考えてよいでしょう。
 ですから、はかりの全てが計量法で厳しくしばられて、強固な規制を受けているわけではありません。検定証印付きもしくは基準適合証印付きとして出荷されるはかりは、供給されるはかりの一割程度、過大に見積もりましても二割以内にとどまります。取引・証明分野以外でしたら検定証印付きである必要はないのです。従って、社会に供給されるはかりの大多数は検定証印の付かないものであります。
 一昔、二昔も前のことでしたら検定証印の付いたはかりは検定証印の付かないはかりよりも性能が良いという傾向はありましたが、いまは違います。同じ生産ラインの製品の中から必要があれば一定の数だけ検定あるいは基準適合検査を実施するということであります。
 検定証印ならびに基準適合証印付きは検定検査規則の要件を満たしたはかりでありますが、検定証印ならびに基準適合証印付きの基本的要件は取引および証明に使用するに足る必要十分な条件を満たしているということであり、その内容は社会と時代の要求に適合したものとなっています。
 検定証印もしくは基準適合証印付きでない高性能・高耐久・高品質のはかりは数多く存在しますし、質量を計測するというはかり本来の目的からすると取引・証明分野こそが特殊領域ということになります。
 質量計測のテクノロジーは、はかりメーカーが他を抜きんでていることは確かでありますが、質量計測を必要とするのは一般産業であります。質量を計測して工場・事業場本来の機能を実現することが一般産業がはかりならびに関連システムを設備する目的です。設備される質量計測システムはときには一億円、一〇億円あるいは一〇〇億円単位のものになることもあります。はかりをそのように広く見るべきですし、質量計測を複眼的に見ることは、はかることの可能性を広げることになります。
 新素材開発等を含めた微小な質量の測定分野では、質量を正確により細かに求めるために、検定の合格条件をはるかに超える諸性能をそなえたはかりが、単体あるいはシステムとして備えられて、稼働しています。

 商店などで客に品物を計って売る場合、つまり商取引(あるいは証明)を目的としてはかりを使用するときに気を付けておくべき事項は以下の三項目です。
1.検定証印もしくは基準適合証印が付されていますか。
2.定期検査済証印の有効期間を満了していませんか。
3.使い方は適切ですか。はかりが傾いていませんか、0点はしっかり調整されていますか。

 なお、計量法の特例措置によって、一部のはかりは届出済証をもって検定証印とみなされておりますから届出済証のシールの貼られたはかりの有効期間等については、はかり販売店または各都道府県の計量検定所、計量検査所等に問い合わせをして、以後の対応をあらかじめ心得ておいて下さい。

 どのような場合にはかりが計量法上の規制を受けるかといいますと、何度も繰り返しておりますが「取引」および「証明」に関する行為に係わってであります。
 「取引」とは物または役務の給付を目的とする行為のことです。商業取引と考えて不都合がありません。「証明」とは一定の事実が事実であるむねを表明することです。一般の商店などにおけるはかりの使用は「取引」に関する行為となります。
 「取引・証明」にはかりを使用する場合には検定証印付きあるいは基準適合証印付きが条件となります。「取引・証明」以外の用途にはかりを用いるのであれば、検定証印付あるいは基準適合証印付きである必要はありません。
 商品の内容量についての計量結果の表明に関しては、取引当事者間における計量およびその計量結果の表明は取引上の計量であり、取引当事者以外の第三者による計量およびその計量結果の(両者又はいずれかの一方の)当事者への表明は証明であります。

〔検定証印付きあるいは基準適合証印付きで定期検査の受検を要する使用事例〕
1.商店等が顧客に品物を計って売る場合。
2.計量証明事業者が証明書を発行することを目的として計る場合。
3.医師の健康証明書に記載するために体重を計る場合。
4.体重別等のスポーツ競技において選手の体重を証明するために計る場合。
5.学校等における体重計=学校、幼稚園、保育所又は福祉施設等の体重測定に使用される非自動はかりであって、その計量値が健康診断票等に示され通知、報告されるものについては、証明における計量に該当する。
6.小包郵便物および一般郵送事業者の宅配便の取次業者の取次店における料金特定のための計量は、取引における計量に該当する。

〔検定証印付きあるいは基準適合証印付きである必要のない使用例〕
1.工場等の製造設備ライン等で製品の品質を高めたり、合理化等を目的としてはかりを用いる場合。
2.各種の試験・研究、薬品の開発等で超精密な計量を行うのにはかりを使用する場合。
3.私的に各種の品物の質量の差異を調べる場合。
4.有料体重計=目安程度のものであれば証明における計量に該当しない。

1.取引・証明分野では定期検査も受検する
 取引および証明にはかりを長年使用している方々は経験を通じて、役所が実施する「定期検査」についての知識をある程度おもちのことでしょう。計量法は計量の安全を確保するための特定計量器検定検査規則など規制措置を講じており、はかりはとくに強い規制を受けている計量器の一つです。これは取引および証明における安全を確保することが消費者保護と社会の安定につながるという考えにたってのことです。一般のはかりの使用者が守るべき内容は特別に難しいものではありませんから、はかりを正しく使用してお店等の信用を増進させるよう心掛けましょう。

2.定期検査にも合格しなければならない
 取引および証明にはかりを使用する場合には検定に合格したものであることが条件です。はかりを検定証印付きあるいは基準適合証印付きで購入した場合にはそのまま使用してかまいませんが、有効期間が定められていて、翌年以降その地域で定期検査が実施される場合には受検し、これに合格する必要があります。定期検査の合格条件は検定公差の2倍となっております。これを使用公差といっておりますが、日常の使用時でもこの使用公差の範囲を超えないようにチェック用分銅などを載せて管理することが必要です。使用公差を超えているようでしたら取りあえずは馴染みのはかりの専門店に連絡して性能を確かめ、具合が悪ければ代替えのはかりを借り受けるとよいでしょう。

3.はかリをいじることは禁止事項
 一般の人は、はかりの性能に影響を及ぼす加工をすることはできません。性能に影響を及ぼす加工ができる者は届出修理事業者、届出製造事業者であり、修理後は計量検定所が実施する検定に合格しなければなりません。

4.定期検査を実施する人々
 定期検査の実施主体は都道府県知事または特定市町村の長であり、一般的には都道府県の計量検定所および市の計量検査所であります。計量法は現行法から地方分権を基本にしたものに改正される地方分権一括法が平成11年の通常国会で可決・成立しました。施行は少し先になりますが、計量行政のほとんどが国の機関委任事務でありましたが、これが自治事務に移行、一部は法定受託事務になります。検定・検査の手数料は今後は各地方自治体が独自に設定することになります。

5.指定定期検査機関
 知事または市町村長から指定定期検査機関として指定を受けた計量協会など公益団体は、定期検査の業務を知事または市長村長に代わって実施できます。 指定定期検査機関は1993年11月1日に改正・施行 された計量法で創設された制度で、1999年7月15日現在では愛知県、兵庫県、佐賀県、静岡県、滋賀県、山形県の計量関係の公益法人が県の指定を受けて、定期検査を実施しております。以後、指定検査機関は増加するものと推測されます。

6.計量士による代検査
 計量法では定期検査に代わるものとして、計量士による定期検査の代行検査制度を設けております。計量士による代行検査は、検査の実施時期を期限内であれば、はかり使用者の業務上の都合ににあわせて選択できるなど、使用者に好都合なこともあって普及しております。

7.適正計量管理事業所における定期検査の免除
 計量法で定められた適正計量管理事業所の指定を受けますと、事業場内で使用している定期検査対象のはかりの定期検査が免除されます。適正計量管理事業所には担当の計量士がいて、はかりを定期検査に適合する内容で適正に管理しています。計量管理事業所の担当計量士ははかりの管理、検査等の状況を当該の役所に報告する義務を負っております。なお薬品関係などの適正計量管理事業所などでは、生産工程で使用するはかりを取引・証明用と敢えてみなして、適正な管理を実施しております。

8.適正計量管理事業所として指定を受けることは企業の社会的責務
 適正計量管理事業所の指定を受けることを、自社の品質管理の一環として位置付ける企業が多く、指定は社会的信用の確保につながります。また定期検査の実施主体は自治体でありますが、定期検査に代わるはかりの自主管理の実施、すなわち適正計量管理事業所の指定は行政コストの削減につながる企業のボランタリィーな活動の側面をもっています。また適正計量管理事業所の指定を受けた事業所とそうでない一般事業所との間の量目管理の適正率を比較した調査があり、適正計量管理事業所の量目管理が圧倒的に良好でした。計量管理意識を全従業員がもって業務を遂行するのと、それがあいまいなまま業務を遂行するのとでは結果に大きな差が生じます。適正計量管理事業所の指定を単純にコスト問題だけで判断する向きがありますが、教育・訓練を通じての従業員の心構えの問題として捉えれば、要する費用は知れています。量目の不適正率の大きい事業所ほど、計量管理意識は低くいですし、企業の社会的イメージも高くないのが実情です。

9.地球にやさしい企業の前提は適正計量管理事業所になること
 適正計量管理事業所の指定を受けることは、自分でできることは自分で始末するという小さな政府つくりにも通じる健全な考えであり、このような精神のもと指定の数が伸びてきました。前項で述べましたように、適正計量管理事業所の指定を受けた事業所の計量管理、量目管理は、指定を受けていない事業所の比べて圧倒的に良好であるという結果が出ております。正しく計ること、計ることをいろいろに活用しようとする計量意識が事業所と従業員に明確に備わってこその企業活動の発展があるのです。
 「地球にやさしい」「人にやさしい」「環境にやさしい」といううたい文句をうわべのものにしない地道な努力の一つこそが適正計量管理事業所の指定を受けることであり、適正な計量管理を実施することです。

10.適正計量管理事業所の指定促進は行政と社会の質的向上につながる
 悪い人が増えると悪い人を監視するための人員を増やさなくてはならず社会維持コストが増大します。国の仕事、地方公共団体の仕事、企業の仕事と分けて考えるとき、適正計量管理事業所の指定を受けることは企業の仕事の分野に入ります。はかりの管理は企業自らがきちんとなすべきであって、定期検査で行政の手を煩わすことがコスト削減につながるといった考えでは、その事業所の計量管理、量目管理はなっていないことを自ら証明しているようなものです。
 社会の中での仕事の分担を考えるとき、計量法は品質管理計量管理がなされている事業所にははかりの管理も分担してもらう考えで、適正計量管理事業所制度を設けたのです。歴史的にも「自治管理」を実施しているから、定期検査を免除すべきであるという、民間の意見・要望を受け入れてこの制度の前身ができ現在の制度に引き継がれたのです。

11.特定計量器として指定された質量計(はかり)
 計量法は家庭用はかりを除き、取引・証明用に使用される「計量器」だけを直接の規制の対象としています。質量計(はかり)のうち計量法の規制対象となるものは政令で次のように定められています。
@非自動はかりのうち、次に掲げるもの
イ 目量が10mg以上であって、目盛標識の数が100以上のもの
口 手動天びん及び等比皿手動はかりのうち、表示された感量が10mg以上のもの
ハ 自重計(貨物自動車に取り付けて積載物の質量の計量に使用する質量計)(注・他の法律で規制されているので検定対象外の扱いを受ける)
1.表す質量が10mg以上の分銅
2.定量おもり及び定量増おもり

12.検定対象外の特例
 特定計量器に指定されたはかりのうち、次のものは例外的に検定対象から外されています。理由は道交法関係で規制を受けていることによるものです。
1.平方メートルで表した載せ台の面積をトンで表したひょう量の値で除した値が0.1以下のもの(注・「マットスケール」、ロードメーターなど)
2.ひょう量が0.5トン以上であって、載せ台の幅が400mm以下のもの(注・車検時に使用されるもの)
3.自重計

13.経過措置による検定済の扱いを受けるもの(届出済証)
 1994年10月31日以前より取引または証明に使用されている新たに検定対象となった
1.圧力指示はかり、2.差動変圧器式はかり、3.磁わい式はかり、4.ひょう量30kgを超える光電式はかり、5.圧電式はかり、6.誘電式はかり、7.電磁式はかり、8.放射線式はかり、9.直示天びん
の各はかりは、その日までに都道府県知事(または特定市長)に届け出て「届出済証」を当該はかりに貼付することにより、平成13年10月31日までは平成3年10月以前の年月が表示された検定証印とみなされます。この「届出済証」が付されていない当該はかりは平成6年11月1日からは取引または証明用としては使用できなくなっております。平成13年10月31日は遠いようですがときの動きは早いものです。当該はかりを使用中の事業者ははかりの購入先と連絡をとり対処を考えて下さい。

14.自動はかリは検定の対象外
 計量法は、検定の対象となる特定計量器を「非自動はかり」に限定しています。ベルトコンベヤーなどで搬送しながら計量する「自動はかり」は検定の対象外であり、この結果「自動はかり」は検定なしで取引・証明に使用できることになりますが、この場合、消費者保護につながる量目公差の範囲を超える計量を行うと罰せられますので、検定がないからといって安易な取り扱いをすることは許されません。

15.非自動はかりの定義等
 1.計量法施行令第2条第2号イの非自動はかりとは、物体の質量をその物体に作用する重力を利用して計る計量器であって、計量値を得るまでの過程において、静止状態において計量を行うものをいう。
 2.多目量はかりの部分計量範囲における目量又は目量の数についても、施行令の非自動はかりの定義における目量又は目量の数の中に含まれる場合は、当該多目量はかりはその部分計量範囲において特定計量器に該当する。

(横田俊英 05年9月13日記)